人の話を聞いていると、ついつい別の言葉にたとえたくなる。
たとえば、以前「小さなことはミスをしたとしても、大事なところは絶対に押さえておく。」という話を聞いたときに「北斗七星を見失わなければ道に迷わない、みたいなことですか?」と返した。
その人は、かなり驚いた様子で
「すごいね。どうして、今の言葉が出てきたの?」と質問をされた。
わたしにとっては当たり前すぎて、意識すらしたことがなかった。そこで「他の人はちがうのかな?」という疑問が生まれた。
そういえば、前々から人の話を聞いているときに、しっくりくる表現をいつも探している。イメージとしては、頭の中で挿絵を付けている感じに近い。納得のいく挿絵をつけられると、腑に落ちる。
だからこそ、あまりにも会話のテンポが速いとついていけない。
「え、今のってこういうこと?」といちいち確認することになる。話の腰を折ってしまって、申し訳ない。サラッと一度聞いただけで、内容を理解できる人がうらやましい。
話を理解するスピードには、どうやら認知特性というものが関わっているらしい。
“認知特性とは、目や耳などの感覚器から入った情報を理解・整理・記憶・表現する「方法」で、六つのタイプに分かれます。”
『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』あらすじ 本田 真美 光文社新書 2012年
大きく、見た情報を処理するのが得意な視覚優位タイプ、読んだ言葉を処理するのが得意な言語優位タイプ、聞いた情報を処理するのが得意な聴覚優位タイプに分かれ、そこから特徴によってさらに6パターンに分かれる。
テストを受けてみると、私は「言語映像タイプ」だった。文字や文章を映像化してから思考するタイプだ。文章を読んで映像化することも、映像を見て文章にすることも得意。
一方で、見る情報や聞く情報の処理では、それぞれ視覚優位の人と聴覚優位の人に敵わない。ちなみに、地図を見てもちっとも道がわからないのも視覚情報に弱いからだとわかった。
面白い。みんなは、世界をどんな風にとらえているんだろう。きっと、わたしとはまったくちがうはずだ。
同じ場にいても、その場の映像を写真のように記憶する人もいれば、誰かの声や音を覚えている人もいる。わたしのように、言葉と映像セットで覚える人もいる。中には身体感覚が豊かな人もいるらしい。
誰かと一日変わって体験してみたい。