6月9日のオンラインよりみち読書会の開催レポート

6月9日(火)に「2020年前半を振り返る」をテーマにオンラインよりみち読書会を開催しました。

私が「自粛が明けたばかりで時間の感覚がない。過去の振り返りをして、今に心を戻そう」というきっかけでしたが、想像していた以上に幅広い本を紹介していただきました。

①『蜜蜂と遠雷』恩田陸

一冊目に紹介していただいたのは、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』。国際ピアノコンクールを舞台に、コンクールに挑む4人の若者を描いた青春群像小説。直木賞と本屋大賞をW受賞した作品としても有名です。

クラシックや音楽に詳しくない人でも、読んで楽しめる2020年前半に読んで一番よかった本だそうです。私もずっと「読みたいなー」と思っているのですが、いかんせん上下巻な上に分厚さがネックで…でも、すすめてくれる話を聞くとやっぱり読みたくなります。

②『ハーモニー』伊藤計劃

2冊目は伊藤計劃さんのSF小説『ハーモニー』。大規模な災害を経て、健康を管理され、危険を予め回避できるようになった世界を描いた作品。その世界に対して、抗議するために餓死しようとした少女3人。その13年後の、死ねなかった少女の物語。

「コロナが流行する前にこの作品を読んだので、重なる部分が多かった」と紹介してくださりました。たしかに疫病が流行すると「これさえ無ければ…」とも思うこともあります。「ありとあらゆるリスクを全て取り除くことが果たしていいのか?」と聞かれると、考えこんでしまいます。

③『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』大木 毅

3冊目は『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』。大学講師、自衛隊学校講師などの経歴を持つ大木毅さんが独ソ戦について書いた作品。ヒトラーが「これは絶滅戦争なのだ」と断言しただけあり、戦争の被害も甚大。戦死者の数などのデータも豊富な一冊。

ドイツ、ソ連、どちらかの立場を擁護するものではなく、あくまで客観的に独ソ戦はどのような戦争だったのか、他の戦争とはどうちがったのか、などを書かれいるそうです。個人的には『蜜蜂と遠雷』を読んだ人が一人なのに対して、この本を読んだことのある人が3人もいたのが印象的でした…本当に読書好き方たちが集まっている場所なのだなと感じました。

④『積読こそが完全な読書術である』永田希

積読を後ろめたく思う必要はない、むしろ読まずに積んでよいと推奨する目から鱗な一冊。読書術の本はたくさんあれど「積読術」の本はなかなかありません。その中で、どう積んでいけばいいのかを書いてくれています。

読書をする人にとって、避けて通れない「積読」。たしかに「ああ、積読が増えた…」というのはどちらかというと「読まなければならない」という義務感からか、自己嫌悪にも結び付きやすいです。その中で、積読を肯定してどのように向き合うかという視点は斬新です。これはみんなの意見を聞いてみたい一冊です。

⑤『「感染症パニック」を防げ!~リスクコミュニケーション入門~』岩田健太郎

私が紹介したのは、感染症に限らず災害時に人に伝えるにはどのような点に気を付ければいいのかについて書かれた一冊。リスクコミュニケーションと言われるだけあって、リスクの見積もり方、発信する側のコミュニケーションの方法、心構えについて書かれた本です。

「2020年前半と言えばコロナ一色だったなー」と思い、私が紹介した本です。ただ、みなさんの方がはるかに詳しかったです。まさか、ご本人がのちのちリスクコミュニケーションで失敗されていたとは…。発表したので、教えてもらえました。

以上、5冊を「2020年前半を振り返る」として紹介してくださりました。テーマがテーマだけにコロナ関連の本が出てくるかなーと想像していたのですが、意外とそうでもなかったです。時間ができたので、長めの本もようやく読めたくらいの方が多そうです。本選び自体にはあまり影響がないのかもしれません。

「よりみち読書会」の主催者としては、オンライン読書会を導入したことは大きな変化でした。それまでも、オンラインでできなくはなさそうと思っていましたが、特に導入する予定もなかったのです。

そんなオンライン読書会も今回で3回目。(無料を含めれば5回?)読書会を一時中断ではなく、続けられているのは参加してくださる方々のおかげです。ありがとうございました!

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