9月8日のオンラインよりみち読書会開催レポート

9月8日(火)に「自由とは?を考える会」をテーマにオンラインよりみち読書会を開催しました。主催を含めて4名での会となりました。

自由に関するいろいろな本を紹介してくださりました。

①『自由からの逃走』エーリッヒ・フロム

社会心理学者フロムが「自由」について書いた一冊です。中世は、身分制は固定され、個人が共同体の一部であったため不自由でした。革命などによって自由がもたらされましたが、それは同時に孤立や不安なども連れてきたと書かれています。

たしかに「何者か」や生きる意味みたいな悩みが出てきたのは、自由だからだなぁと思います。自由はいい文脈で使われることの方が多いですが、あまり表に出てこないデメリットもあるというのが衝撃的でした。本の中では束縛から逃れたい消極的自由と、個人の意思で選んでいく積極的自由を分けていますが、そのあたりについて他の方の意見を聞いてみたいなと思い紹介させていただきました。

②『自由の牢獄』ミヒャエル・エンデ

『モモ』や『はてしない物語』といった児童文学で有名なミヒャエル・エンデの大人のための短編集。タイトルにもなっている短編、自由の牢獄は未来を予想できない状態でどう選択をするのか、自由について改めて考えさせられる作品です。

この物語そのものも興味深いのですが、あわせて「私にとって自由は、選択肢があることです。」と言ってくださったことが印象に残りました。参加者の方々に「もし、自分が物語の状況にいたら、いつどうやって選択するのか」と聞いてみたり、普段から選択について感じていることを共有したりと話が広がりました。人によって選び方や、未来の捉え方が変わるのがおもしろいです。

③『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』吉川浩満

「人間とは何か?」のさまざまな角度から考える一冊。ロボット、人工知能、利己的遺伝子、認知バイアス…進化と認知に関する話題から、人間の定義を問いかけてくれます。歴史的に認知革命が起きたできごと、進化と絶滅、人間とはを考える上でキーとなる人物や作品を広く紹介しています。

「人は知らないところで色々な存在に影響を受けているので、自分の選択だと思っているものも、本当の自由意思ではないのかもしれない」とこの本を紹介してくれました。自発的に決定したように感じていても、実は誘導されていることもあるのでしょう。人によって感じ方がちがうところがおもしろいなぁと思います。

④『わたしの小さな古本屋~倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間』田中美穂

会社を辞めて、古本屋を営み始めた著者が18年間のエピソードをつづった一冊。店内で猫、亀、クワガタ、金魚などを育てていたり、古本屋の店内でイベントや音楽ライブも行うなど新しい試みをされていることが伝わってきます。

自由と感じる理由について「①勤め人でない ②趣味を仕事にしている ③お店が軌道に乗るまでバイト生活をしている」と挙げていただきました。「古本屋の店主をやってみたいなぁ」と考えたことのある方は、多そうです。仕事選びは1日の中で8時間くらいを占めるので、大きな要素ですよね。

以上4冊でした。自由をテーマにしたので、いろいろな話題が出ました。時間、お金、選択肢、自己決定、責任…特に、医療従事者の方や福祉関係者の方がいらっしゃったので、感染症対策のお話は何度も出ました。

「個人の自由にはリスクがつきもの。リスク管理をすると、不自由になる。」というのは感染症に限らないお話だなぁと感じました。病院ならリスク管理の方を重視する方を優先したり、状況が変わったら別の価値観を優先したりすることもあります。最適なバランスは、何を重視するのかによって変わるのだろうなぁと感じました。

ご参加くださり、ありがとうございました。

次回は10月13日(火)から、「読み返した本」をテーマにオンラインよりみち読書会を開催します。今日のよりみちを、明日の力にしませんか。

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