5月26日(火)に「今、気になる本」をテーマにオンラインよりみち読書会を開催しました!
自粛期間に「これまでと同じじゃいられないなぁ…」と感じて、何かしらの変化を取り入れようとしている人は多いのでは?これから、どうします?という問いかけのつもりで、テーマ設定をしました。
ここからは実際に紹介していただいた本についてです。
①『じんかん』今村翔吾
一冊目に紹介していただいたのは、今村翔吾さんの歴史小説『じんかん』。戦国時代の三悪人の一人として名高い松永久秀の生涯を描いた作品。松永久秀の破天荒エピソードだけでなく、一人の人としての生き方が丁寧に描写されていて、哲学的と紹介してくれました。
個人的には、他の参加者の方から「歴史小説の魅力は?」と聞かれたときに「人間が変わる瞬間を共有できること」というのが印象的でした。歴史小説は、時間を越えて分岐点まで遡ったりできます。栄えるところも、没落していくところも。なるほど、人生が詰まっています…。
二冊目は『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへー15歳から始める生き残るための社会学ー』響堂雪乃
「今の日本はどのような課題を抱えているのかを知るインデックス」と紹介してくれました。一つのテーマを深堀というよりは、社会学の辞書のように名前と概要を網羅している本。この一冊をきっかけに、興味のあるテーマは深掘りしていく入門書としても使いやすいとのことです。
たしかに、「このことについて知りたいな」と思ったら、まずキーワードや名前を知る必要があります。そして「名前を知るきっかけや接点」って意外と多くないんですよね。すでに知っている人たちに向けた本が多いですから、一度目を通しておきたいなぁと思いました。
三冊目は『「本屋」は死なない』石橋 毅史
町から書店が徐々に消えていく中で、本屋さんたちはどうとらえているのか。大手の書店員さんから、個人で営む書店まで。2011年に出版された本屋さんを追ったノンフィクション。
「この本に出てくるキーマンの人が、今は本屋を止めちゃったんです。今はこの頃よりも、状況が悪化している。」という紹介が悲しかったです。なんと…。ここから「これから、本屋さんってどうなっていくんでしょうね?」という話に発展していきました。本って、すごく薄利なんですね…。
四冊目は『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン
韓国発のエッセイ。美大出身のイラストレーターのハ・ワンさんが「頑張ってきた結果、どんどん不幸になっているのでは?もう限界!」となり、書いた作品。自分らしい生き方に出会えるエッセイ。
自粛期間に仕事から少し離れた人、時間ができて「自分は何がやりたいんだ?」と立ち止まった人に刺さりそう。読まずにコメントをするのが少々むずかしいですが、きっと、自分の人生とリンクするタイミングで出会えると最高な一冊になる本なんじゃないかな…と想像しました。
五冊目は「トキワ荘」無頼派―漫画家・森安なおや伝 併載『赤い自転車』
藤子不二雄(A)、藤子・F・不二雄、赤塚不二夫、などが有名な「トキワ荘」で過ごした森安なおやさんの人生を描いた作品。個性ゆえの挫折、廃業後から40年後の孤独死までを追ったノンフィクション。
参加者の方全員、トキワ荘のことは知っていても、森安なおやさんのことは知りませんでした。どなたかがおっしゃった「トキワ荘の光と闇ですね」というのが印象に残りました。時代や、何かが一つでもちがったら、この人はまた別の生き方があったんでしょうか。
六冊目は『ウェブはグループで進化する』ポール・アダムス
SNSが発展した人間関係についてデータを用いながら、「ウェブはコンテンツ中心から、人中心へ変化する」と書いたマーケティングの本。ソーシャルネットワークにおける、人とのつながりについて、私の紹介した本です。
約1年くらい前から、読書会のために見る専門だったSNSを本格的に使うようになりました。どうやって広まっていくのか、どうやったら参加してもらえるのか。「不思議だなぁ」と思うことの連続です。最近は、オンラインとオフラインのつながりについても考えています。
以上、6冊を「今、気になる本」として紹介してくださりました。私は、自粛期間に「ネット上の人間関係」を模索したので「今」の本ですが、みなさんはより長期的な目線で、自分の生きる道に関わる本を紹介してくれた方が多かったです。
その後の懇親会では、本にまつわる話や、どこまで自分のやりたいことをやって、どこからは他の人の需要に合わせるか等の話になりました。濃い。濃かった。
参加してくださり、ありがとうございました。次回は、6月9日(火)に「2020年前半を振り返る」をテーマにしたオンライン読書会を開催します。今日のよりみちを、明日の力にしませんか。