7月14日オンラインよりみち読書会の開催レポート

7月14日(火)「ゆる~っと本について話す会」をテーマにオンライン読書会を開催しました。主催を含めて6名の予定でしたが、4名での会となりました。

現実で色々な変化があり、テーマに合わせた本を選ぶ余裕はないかと思い「読みかけの本でもOKですー」と呼びかけたものの、密度の濃い会でした。

①『お金本』夏目漱石 他

夏目漱石、国木田独歩、泉鏡花、芥川龍之介など文豪の「お金」にまつわるアンソロジー。友人から借金をしたり、借りたお金でお酒を飲んでしまったり…どうやってお金を調達してくるのか。作家、実業家、ミュージシャンまで作品だけでは見えてこない現実的な生活の話。

感想共有のときに「今は借金を踏み倒したりしたら、作品も出せなくなる。SNSで人となりもわかってしまう。」というお話がドキリとしました。言われてみると、ひと昔前の作家像は品行方正からはほど遠いイメージがあります。今はインターネットでよくも悪くも見えるようになってしまった。少しだけ、残念な気持ちもあります。人としてはダメだし、周りにいたら迷惑だけれど、作品だけは最高な人が作家であって欲しい、ロマンがあるなぁとも思うのです。

主催者が横浜市民と伝えたら、ベイスターズの軌跡を追った『4511敗の記憶』もあわせて紹介してくださりました!

②『日常学事始』 萩原魚雷

次に紹介してくださったのは萩原魚雷さんの『日常学事始』。著者の萩原魚雷さんは『本と怠け者』や『中年の本棚』など古書、本に関する書籍を書かれているライターの方ですが、この本は衣食住に関するゆるめのエッセイ集。牛乳の賞味期限、野菜は洗うのか、洗濯など一人暮らしあるあるのつまった作品です。

「衛生面、どの程度をきれいと感じるかの基準は人によってちがいますよね」という話で盛り上がってしまいました。特に今は感染症対策でより衛生的であることを求められます。苦痛と感じる人もいれば、ようやく過ごしやすくなってきた人もいるのかもしれません。生活の裏側の話は、普段聞きづらいので他の人の考えを聞けると楽しいです。

③『虐殺器官』 伊藤計劃

SF作家の伊藤計劃さんデビュー作でもある『虐殺器官』。以下はamazonのあらすじより抜粋します。

9・11を経て、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
 米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは? ゼロ年代最高のフィクション

…なんてあらすじの説明をしづらい本…!気を取り直していきます。紹介してくださった方は、普段あまりSFを読まないけれど、伊藤計劃さんは読書会でおすすめされて読んだそうです。「ディストピアには、後味が悪いものと爽やかなものがある。何がそこを分けるのかまだわからない。SFやディストピア嫌いな人にもおすすめしたい。」とおっしゃっていました。私も「ああ、これは読まなきゃ…!」と感じている一冊です。

④『天才たちの日課』メイソン・カリー

モーツァルト、ヘミングウェイ、マルクス、ピカソなど161人の天才はどのような生活を送っていたのか。毎日の習慣、ルーティーンに焦点をあてて淡々と紹介していく一冊。朝型の人も、夜型の人も、一人で静かな生活を送る人も、毎日酒場に出かけて飲み明かす人も、アイデアに詰まったら気分転換する人もしない人もいる。まさに「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」

私が読みかけの状態で紹介した本です。まだ50ページくらいしか読めておらず「中でも印象的なエピソードありましたか?」の質問に答えられずにいたら、別の参加者の方が読み終えていて私の代わりに紹介してくれました。ありがとうございます!「読み終えなくても紹介ってできるのかな?」というチャレンジもありましたが、紹介の完成度を気にしなければできそうです。

以上、5冊でした。

前日に私が「どんなテーマで読書会をしたいですか?」と候補をいくつかツイートしていたら、その中からピックアップして「お金だとしたら『お金本』」、や「恐怖」のテーマから連想して『虐殺器官』」を紹介してくれた方がいました。参加してくださった方々、ありがとうございました!

次回の読書会は8月11日(火)「ちょっと変わった本」をテーマに、オンラインよりみち読書会を開催します。

非日常があって当たり前の本の世界では、日常生活と基準がちがいます。何がふつうで、どんなものを変わっているとするのか。それは紹介する人次第です。

記事をシェア

この記事を書いた人