10月13日(火)の19時半から「読み返した本」をテーマにオンライン読書会を開催しました。主催者を含めて7名での会となりました。紹介してくださった本は次の7冊です。
①『どうで死ぬ身の人踊り』西村賢太
一冊だけでなく西村賢太作品の魅力を紹介してくださりました。よく出てくるキャラクターは中卒、日雇い労働、DVなどの特徴を持っていて、それを赤裸々に語る私小説が多い。扱っているテーマは重めでも、どこか喜劇的にしているところが魅力だそうです。
「何かを得ようとして読書をするのではなく、ただ楽しいから読み返してしまう」と紹介をしてくれました。
②『幹事のアッコちゃん』柚木麻子
柚木麻子さんのランチのアッコちゃん、3時のアッコちゃんに続くシリーズ物の3作目。新入社員に忘年会プロデュースの幹事を教える表題作を含む3本の中編小説が入っています。
「読むと元気がもらえる本」と紹介してくれました。読み返したくなる本は、作者や出てくる登場人物のキャラクターが大事なのかもなーと思いました。
③『ホリー・ガーデン』江國香織
高校からお互いを知っている果歩と静枝の二人の30歳手前の女性を描いた長編小説。「キャラクターのちがう二人だけれど、どちらの要素も自分の中にあるので共感度が高い。」と紹介をしてくれました。「後で読み返すと引っかかるポイントが変わっている」と教えてくれたのが印象的でした。
④『遥かなるケンブリッジ』藤原正彦
研究のためにイギリスへ行った数学者の著者のエッセイ。「淡々としたエッセイだけれど、ユーモア、武士道、国語の3つを大切にしているところに影響を受けているかもしれません」と紹介をしてくれました。
「国語と武士道だけど、数学者なんですか」と聞いたら「美しい、で共通しているみたいです」という答えが印象的でした。
⑤『はじめて出会う小児科の本』山田真
30年以上読み継がれている小児の医学書。2016年に改訂版も出ています。子どもの怪我や体調不良と、その対処法について書かれています。健康についてわかりやすく教えてくれる専門書です。
「新米のお母さんや教育者が読めるように安心できるような言い方がされていて、枕元において何度も読み返しています。」と紹介してくれました。
⑥『なんで僕に聞くんだろう?』幡野広志
ガンになって余命宣告をされた写真家の著者のもとに寄せられた人生相談とその回答を集めた本。クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで2019年にもっとも読まれた連載でもあります。
紹介してくださった方は、いろいろと大変なことがあった1年前に、幡野さんを知ったそうです。好きなフレーズは自殺に関する相談への回答で「もし、死んだら天国で会いましょう。」だと教えてくれました。
⑦『勇気凛々ルリの色』浅田次郎
陸上自衛隊、ヤクザ、小説家という経歴を持つ著者が1994年から週刊現代に連載していたエッセイを集めた本。話題はニュースなどの社会的なものから、個人的なコンプレックスの話まで幅広くあります。
私が小学生のときに親からすすめられて読んでいた本を最近読み返したので、紹介しました。ニュースなどは今読むと古く感じられるものもありますが、個人的な体験についてはいつ読んでもおもしろいです。
以上、7冊でした。
「読み返す本」だと、内容は知っていてもまた雰囲気を味わいたかったり、キャラクターから元気をもらえたりと楽しみ方がちがうのかもしれないと感じました。難解な本よりも、軽くて手にとりやすい作品の方が多い傾向にありました。
ご参加くださり、ありがとうございました。
次回のオンラインよりみち読書会は、11月10日(火)の19時半から「他の人の意見を聞いてみたい本」をテーマに開催します。
まだ、イベントページはオープンしていませんが11月23(月・祝)にも横浜でオフラインの読書会を開催します。後日あらためて、紹介させていただきます。